腰痛:腰方形筋との関係

腰方形筋の伸長性収縮が腰痛の原因となるメカニズムについて、解剖学的に解説しますね。

1. 腰方形筋の解剖

  • 位置と構造: 腰方形筋(Quadratus Lumborum)は、腰部の後面に位置し、下部肋骨から骨盤の腸骨稜にかけて広がっています。脊椎の側面に位置し、体幹の安定性を保つ重要な筋肉です。
  • 機能: 腰方形筋は、側屈(体を横に倒す動き)や脊柱の伸展(背中をまっすぐにする動き)に関与し、また呼吸時には肋骨の位置を調整する役割も担っています。

2. 伸長性収縮とは

  • 定義: 伸長性収縮(エキセントリック収縮)は、筋肉が伸びながら力を発揮する収縮のことを指します。これは、筋肉が負荷に対抗しながら伸びる際に起こります。
  • 腰方形筋の役割: 腰方形筋が伸長性収縮を行うとき、特に体を横に倒したり、重い物を持ち上げたりする動作で、過度に伸ばされることがあります。

3. 腰痛のメカニズム

a. 過度の伸張

  • 筋肉の損傷: 腰方形筋が過度に伸ばされると、筋繊維が微細な損傷を受けることがあります。これが炎症を引き起こし、痛みを生じる原因となります。
  • 筋疲労: 伸長性収縮が繰り返されることで、筋肉が疲労し、力が発揮できなくなることがあります。これにより、他の筋肉が compensatory(代償的)に働き、さらに負担がかかります。

b. 姿勢の影響

  • 不良姿勢: 長時間の座位や不適切な姿勢は、腰方形筋に不均等な負荷をかけることがあります。これが筋肉の緊張を引き起こし、伸長性収縮が起こりやすくなります。
  • 筋バランスの崩れ: 腰方形筋と周囲の筋肉(例えば、腹筋や背筋)のバランスが崩れると、腰方形筋に過度の負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。

4. 結果としての腰痛

  • 慢性的な痛み: 腰方形筋が繰り返し伸長性収縮を受けることで、慢性的な筋肉の緊張やコリが生じ、腰痛が持続することがあります。
  • 神経への影響: 腰方形筋の緊張が続くと、周囲の神経が圧迫され、放散痛(他の部位に感じる痛み)が生じることもあります。

5. 予防策と対策

  • ストレッチと強化: 腰方形筋を含む腰部周辺の筋肉をストレッチし、同時に強化することで、筋バランスを整えることが重要です。
  • 姿勢の改善: 日常生活での姿勢を見直し、適切な姿勢を保つことが腰痛の予防につながります。
  • 適度な運動: 定期的な運動や軽いストレッチを取り入れることで、筋肉の柔軟性を保ち、腰痛のリスクを減少させることができます。

このように、腰方形筋の伸長性収縮が腰痛の原因となるメカニズムは、筋肉の損傷、姿勢の影響、そして筋バランスの崩れなどが関連しています。正しいケアと予防策を講じることで、腰痛を軽減することが可能です。

腰痛にお悩みならボディケアグリーンズ 森田

コメントを残す

Related Post

整体におけるファインチューニングとは?整体におけるファインチューニングとは?

体の調整や整体におけるファインチューニングとは、**「より精密な調整」**を意味します。 人間の体は、骨格、筋肉、神経、内臓など、様々な要素が複雑に絡み合って成り立っています。 整体では、これらの要素全体のバランスを整え […]

あらゆる動作は出力であると同時に入力でもあるあらゆる動作は出力であると同時に入力でもある

固有感覚(proprioception)は自分自身(propriusはラテン語で「自分自身の」を意味する)に関する感覚である。骨格筋や関節包、皮膚に存在する感覚受容器は自分の身体、特に四肢と頭部に関する姿勢や動きの意識的 […]

足の痛みと股関節・お尻の関係足の痛みと股関節・お尻の関係

新潟市中央区東堀通にて開業21年目になります整体院ボディケアグリーンズオーナー森田です。足の裏が痛い、豆ができやすい、踵が痛い、足首が痛いといった症状を訴える方が毎日たくさん来院されます。症状が出ている箇所にももちろん問 […]

筋肉の張りがないのに強い腰痛 ドラッグストア勤務T様筋肉の張りがないのに強い腰痛 ドラッグストア勤務T様

身体を触っても筋肉の張りが全く感じない でも腰が痛い とても痛い   そこでアプローチの方法を変えることにしました。 仰向けに寝てもらい 手を腰とベッドの隙間に入れて ↑広背筋とその奥にある筋肉を ふわっと柔ら […]

トレーニングによる骨盤調整と腰痛防止(4)トレーニングによる骨盤調整と腰痛防止(4)

前回、前々回と ダンベルを使った立位の腹斜筋トレーニングを紹介しました。 これ 私が自分で思いついて 実際やってみたら 腰回り、お腹周りの安定感と バランスが整うという効果を感じたので 紹介しているのですが うちのスタッ […]