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皆さん、こんにちは。新潟市で22年間、ボディケアグリーンズという整体サロン&パーソナルトレーニングジムを経営している整体師の森田です。
産後のケアや、年齢を重ねる中で生じる尿漏れ、ポッコリお腹といったトラブルの根源として、骨盤底筋群の重要性は広く知られるようになりました。
多くの方が「骨盤底筋群を鍛えなければ」と、ケーゲル体操などの運動に励みますが、なぜか効果を実感できないという声も少なくありません。
その理由は、骨盤底筋群が「力ずくで鍛える」ことを求めていないからです。骨盤底筋群は、骨盤の構造的なポジションが整えば、勝手に、無意識下に最も機能しやすい状態になる、非常に繊細な組織なのです。
今日は、この骨盤底筋群が働きやすい「魔法のポジション」とは何か、そしてそれを生み出すための内転筋と多裂筋の驚くべき役割について、深く掘り下げてお話ししたいと思います。
1. 骨盤底筋群の機能と「適度な張力」の必要性
骨盤底筋群は、骨盤の底にハンモックのように広がり、内臓を支え、排泄をコントロールするインナーユニットの要です。
🚨 ニュートラルな張力が機能の前提
骨盤底筋群が正しく機能するためには、過度に緩んだり、締めつけられたりしていない「適度な張力(トーン)」が必要です。
- 過度な骨盤前傾の弊害: 多くの人が良い姿勢をとろうとして腰を反る(前傾)と、骨盤は上側(腸骨)が開いて下側(骨盤底筋群)が閉じてしまい、骨盤底筋群は力を発揮しにくいポジションとなります。
- 過度な骨盤後傾の弊害: 逆に後傾しすぎると、骨盤底筋群は過度に緩んでしまい、支える力が不足します。
🔑 魔法のポジション:下が開いて、上が閉じる
骨盤底筋群が最も働きやすい構造的なポジションとは、骨盤の下側(骨盤底筋群の付着部)が適切に開いて、上側(腹腔)が閉じる状態です。
これは、仙骨がニュートラルに立ち、腸骨(骨盤の大きな翼状の骨)が適切な後傾を作り出すことで達成されます。このポジションが、腹圧を適正化し、骨盤底筋群に最適な張力を与える「土台」となります。
2. 理想のポジションを作り出す2つの鍵
この繊細な理想のポジションは、インナーユニット以外の、一見無関係に見える「アウターの筋肉」の働きによって誘導されます。それが、内転筋と多裂筋です。
① 内転筋:骨盤の下側を開く「土台の調律師」
内転筋(太ももの内側の筋肉)が正しく機能すると、その筋膜連鎖を通じて、骨盤の下側をグッと開いてくれます。
- 作用: 内転筋を活性化することで、骨盤底筋群の付着部に適切なスペースと張力が生まれ、骨盤の上側が相対的に閉じる状態(腹腔の安定)が作られます。
- 調整の重要性: 椅子に座って膝にボールを挟むエクササイズが有効なのは、内転筋を活性化することで、骨盤底筋群が「勝手に働きやすい土台」を誘導できるからです。
② 多裂筋:仙骨のニュートラルを保つ「姿勢の支柱」
多裂筋は、脊椎の深層にある小さな筋肉群で、特に仙骨(骨盤の後ろにある三角形の骨)を安定させ、骨盤全体を適切な後傾に保つ上で非常に重要です。
- 作用: 多裂筋が機能することで、仙骨がニュートラルに立ち、過剰な前傾を防ぎます。これが、内転筋の働きと相まって、骨盤底筋群に安定した作業環境を提供します。
3. 骨盤底筋群を働きやすくするための調整方法(エクササイズ)
これらの原則に基づき、骨盤底筋群を「鍛える」のではなく「働かせる」ための具体的な調整方法をご紹介します。
1. 座骨の確認と内転筋の活性化
- ポジションの確保: 膝が90度になる椅子に座り、足裏を床につけます。
- 座骨の確認: 座骨(お尻の底の骨)をしっかり感じます。
- 内転筋の活性化: 膝の間にボールやタオルを挟み、軽く挟みながら、膝をスリスリと小さく内側に動かします。これにより内転筋が起動し、骨盤の下側に適切な張力が生まれます。
2. 腹圧と左右差の調整
- 腹圧の確認: 腹壁に手を当て、呼吸に伴って腹圧が適切にかかっているか(吸って膨らみ、吐いてへこむ)を確認します。
- 個別調整: 座骨の感じ方に左右差がある場合、座骨を感じにくい側の膝を、ボールを挟んだまま、少しだけ後ろに引きます。
- この動作は、引いた側の寛骨を後傾させ、骨盤の傾きのバランスを整え、骨盤底筋群が対称的に働きやすいポジションを誘導します。
3. 仕上げ:骨盤底筋群の覚醒
- 内転筋の継続: 両膝でボールを挟み、内転筋がしっかり使えている状態をキープします。
- 骨盤底筋群の収縮: 内転筋を使えている状態で、骨盤底筋群を少し上に持ち上げるようなイメージで引き上げます。これは、お尻の穴を締める感じや、おしっこを我慢する感じをイメージすると良いです。
この一連の調整は、骨盤底筋群が適切に働くための「前提条件」を整えることが目的です。内転筋と多裂筋、そして仙骨のニュートラルを意識することが、ポッコリお腹や尿漏れといった悩みの根本解決に繋がるのです。
力ずくの「鍛錬」ではなく、体の構造と機能の調和に意識を向けること。それが、真のインナーユニットの強さを手に入れる秘訣です。
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整体師 森田 ボディケアグリーンズ 代表