皆さん、こんにちは。新潟市で22年間、ボディケアグリーンズという整体サロン&パーソナルトレーニングジムを経営している整体師の森田です。
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「猫背を治したいなら、肩甲骨を寄せましょう!」
これは、姿勢改善の文脈で最も広く知られているアドバイスの一つです。多くの人が、この言葉を信じ、日々、胸を張り、肩甲骨を背中の中心に引き寄せる努力を続けています。
確かに、この動作は一時的に胸郭を開放し、姿勢が良くなったような感覚をもたらします。しかし、私の長年の臨床経験と、運動解剖学の知見からあえて言いますと、、、
その「寄せすぎ」や「間違った寄せ方」は、背中の柔軟性を奪い、肩関節の機能を破壊し、最終的に「巻き肩」や「ストレートネック」を悪化させる深刻なデメリットを伴います。
今日は、この「肩甲骨を寄せる」という行為のメリットと、それを凌駕するデメリットについて、その構造的真実を深く掘り下げていきたいと思います。
1. 「寄せる」動作がもたらす一時的な解放(メリット)
肩甲骨を内転(寄せる)動作がもたらすメリットは、主に体幹の表面的な伸展にあります。
① 胸郭の視覚的な解放
肩甲骨を寄せることで、背骨の中央部分、特に胸椎(きょうつい)の一部が前に押し出され(伸展)、一時的に胸郭が開いた感覚を得られます。これにより、猫背の見た目が軽減され、背筋(僧帽筋中部や菱形筋)が働く感覚を得られます。
② 背筋群の強化
肩甲骨を内転・引き寄せを意識したトレーニングは、僧帽筋中部や菱形筋といった、背中の中心にある筋肉の強化に繋がります。これらの筋肉が弱っている人にとっては、姿勢の維持に必要な筋力を養う上で重要なステップとなります。
しかし、これらのメリットは、正しい全身の連動」という文脈から見ると、非常に限定的であり、表面的なものに過ぎません。
2. 「寄せすぎ」が引き起こす構造的な連鎖崩壊(デメリット)
私が、お客様に「肩甲骨を寄せすぎないでください」と指導するのには、明確な理由があります。過度な内転は、以下の深刻なデメリットを招きます。
🚨 デメリット①:肩関節の機能不全と「巻き肩」の進行
肩甲骨を寄せることで、肩の動きに必要な連動性が崩れてしまいます。
- 三角筋前部への力の集中: 肩甲骨を固定しすぎた状態で、腕を引く動作(ローイングなど)を行うと、本来背中全体で引くべき力が、三角筋前部に不必要に入りやすくなります。三角筋前部の過度な緊張は、肩関節を内旋させ、肩を前に出してしまうという悪癖を助長し、結果的に「巻き肩」へと逆戻りさせるリスクが高まります。
- 真の改善に必要なもの: 巻き肩の真の改善には、寄せる力だけでなく、三角筋後部の強化と、胸郭の安定のもとでの肩甲骨の自由な動き(安定性)が不可欠です。
🚨 デメリット②:脊柱の柔軟性阻害と「棒状の背骨」化
私たちの背骨(脊柱)の屈曲伸展(曲げ伸ばし)は、単一の関節ではなく、全体がしなやかに連動することで衝撃を吸収します。
- 不自然な押し出し: 無理やりL3〜L6といった特定の胸椎部分だけを前に押し出すような寄せ方をすると、脊柱全体が持つ自然な連動の感覚が阻害されます。
- 棒状の固定: 脊柱全体が一部を無理に固定された結果、まるで一本の棒のように動きが失われ、腰や首に負担が集中しやすくなります。
🚨 デメリット③:最悪の連鎖!「ストレートネック」への道
最も懸念すべきは、肩甲骨の寄せすぎが、首の不調へと連鎖することです。
- 肩甲骨の挙上: 寄せる動作が過剰になると、徐々に肩甲骨が挙上(上に持ち上がる*しやすくなります。
- 首の根元の圧迫: 肩甲骨が挙上し、胸郭がロックされた状態が続くと、その代償として首の根元が前に押し出されます。これは、頭部が体よりも前方に突出するストレートネックへと繋がる、典型的な連鎖です。
3. 真の美しい姿勢:「寄せる」ではなく「安定と解放」
私が22年の経験をもって追求する姿勢の哲学は、「無理に固定された姿勢」ではなく、「自律的な調和」です。
🔑 追求すべきは「ニュートラル」な状態
真に目指すべきは、以下の状態です。
- 胸郭の解放: 胸郭がロックされず、柔軟に動き、自然と開いていること(胸椎の動き)。
- 肩甲骨の安定: 肩関節の機能が回復した上で、肩甲骨が「必要な時だけ、必要な分だけ」動く、静かな安定性を持つこと。
この「安定と解放の調和」が取れて初めて、あなたの体は力みのない、最も美しい姿勢を作り上げることができます。
もしあなたが、頑張って肩甲骨を寄せているのに、肩こりが治らない、むしろ首が疲れると感じているなら、それはあなたの体が「間違った努力」に悲鳴を上げているサインかもしれません。
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