皆さん、こんにちは。新潟市で21年間、ボディケアグリーンズという整体サロン&パーソナルトレーニングジムを経営している整体師の森田です。
私の個人的な記憶の中に、ある種の「食の異変」があります。子供の頃、新鮮なトマトを口にすると、舌の先がピリピリと痺れ、まるで熱を持ったかのように腫れてしまう。また、のほうれん草を口にすると、舌の表面が奇妙にザラザラとした質感に変わる。
当時は「体質だろう」「この食べ物には何か毒があるのか」と曖昧にやり過ごしていました。しかし、大人になり、この道に入ってそのメカニズムを深く知ったとき、それは単なる「アレルギー」という一言では片付けられない、私たちの免疫システムが起こす壮大な「誤認」であったことを知りました。
今日、私が語りたいのは、この口腔アレルギー症候群(OAS)の謎めいた世界と、私たちの体がなぜこの「謎の不調」を時に卒業し、成熟していくのかという、生命の深淵な哲学です。
1. 免疫システムが起こす「誤認」の悲劇:交差反応のメカニズム
口腔アレルギー症候群(OAS)は、アレルギーの中でも特に奇妙な振る舞いをします。その正体は、多くのケースで「花粉症」と深く繋がっています。
OASの患者の多くは、まずスギやヒノキ、あるいはシラカバなどの花粉アレルギーを持っています。そして、ある特定の野菜や果物を摂取した際、口の中や喉にかゆみや腫れといった症状が出ます。
このメカニズムは、「交差反応(クロスリアクティビティ)」と呼ばれています。
🔑 鍵を握る「PR-10タンパク質」の秘密
この交差反応の鍵を握るのは、特定の食物に含まれるPR-10型アレルゲンと呼ばれるタンパク質です。このタンパク質が、花粉に含まれるアレルゲン(例えばシラカバ花粉の「Bet v 1」など)と構造が非常に似ていることが問題を引き起こします。
体が過去に花粉アレルゲンに対して「これは外敵だ!」と記憶していると、その花粉と構造がそっくりな果物や野菜のタンパク質が口に入ってきた際、「あ、これもあの花粉と同じ構造だ!攻撃せよ!」と免疫システムが誤認してしまうのです。まるで、遠方にいる双子の兄弟を見て、記憶の中の人物だと勘違いするようなものです。
これが、リンゴ、モモ、サクランボ、キウイ、そして私のようにトマトといった特定の食物で、口の中だけに症状が出る原因です。
そして、このPR-10型アレルゲンは、熱に弱いという特徴があります。だからこそ、生のリンゴを食べると症状が出ても、アップルパイにして加熱調理すると問題なく食べられる、という現象が起こるのです。
2. なぜ私たちは「体の誤認」を卒業できるのか?(整体師の考察)
さて、私自身の経験として、子供の頃は症状が出たトマトやほうれん草が、大人になるにつれて平気になっていったという事実があります。なぜ、私たちの体は、この「誤認」を時と共に解消できるのでしょうか?
完全に治るメカニズムは複雑ですが、主要な要因として以下の「免疫の成熟」が考えられます。
① 免疫システムの成熟と「寛容」の獲得
年齢を重ねるにつれて、私たちの免疫システムは「学習」を続けます。特に、食物アレルゲンに対して過剰に反応しないようにする「免疫寛容(めんえきかんよう)」という能力が、時と共に高まります。これは、体に害がないと判断した物質に対しては、あえて攻撃しないという、免疫システムの「大人の判断」です。
子供の時に未熟だった免疫システムが、時間をかけて様々な情報を取り込み、その誤認を修正していくのです。
② 腸内環境という「司令塔」の変化
そして、私が整体師として特に注目するのは、腸内環境の変化です。免疫細胞の約7割は腸に集中しており、腸は免疫の「司令塔」です。
良質な食生活やストレス管理によって腸内環境が整うと、免疫システム全体のバランスが改善し、アレルギー反応や炎症を抑制する力が強くなります。子供の頃と比べて、腸内フローラが多様性を増し、健康になったことで、過敏な反応が収まった可能性は十分に考えられます。
③ 自律神経を通じた「体のリラックス」
アレルギー反応は、ストレスや自律神経の乱れによって増幅されます。体が常に緊張状態にあると、免疫システムも過敏になり、些細な刺激にも反応しやすくなります。
大人になって、人生経験を積み、ストレス管理が上手になったり、あるいは整体や運動で体の歪みが整い、自律神経が安定したりすることで、過敏な反応が治まるケースも多くあります。体がリラックスし、「防御の姿勢」を解いた結果、免疫システムも穏やかになるのです。
3. 「体の哲学」を取り戻すための整体的アプローチ
OASの症状を抱えている方の中には、単なるアレルギー薬の服用だけでなく、根本的な体質改善を望んでいる方もいるはずです。
私が提供したいのは、「体の受容体」を正常な状態に戻し、自己治癒力を高めるという哲学です。
- 歪みの調整: 首や頭蓋骨の微細な歪みを整えることで、自律神経の通り道である神経系の緊張を解放します。これにより、過敏になっていた免疫システムを落ち着かせます。
- 内臓機能の活性化: 腸内環境や肝臓の働きを整体的にサポートし、免疫システムの司令塔である腸の機能を高めます。
- 深い呼吸の習得: ストレスによる浅い呼吸を改善し、自律神経を整えることで、体全体のリラックスを促します。
アレルギーであれ、痛みであれ、私たちの体は変化し続ける生命体です。「歳のせい」と諦める必要はありません。その体の奥に潜む「謎の不調」も、適切な知識と緻密な技術で、必ず解き明かせます。
あなたの「体の誤認」を修正し、真に健康な状態へと導くために、私はこれからも探求を続けます。
ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ。 [電話025-225-8180]
整体師 森田 ボディケアグリーンズ 代表