人間を人間たらしめた「歩行」:その重要性と科学的根拠

歩行:人類進化の礎

二足歩行は、私たち人類を他の霊長類から区別する最も顕著な特徴の一つです。直立二足歩行を獲得したことで、人類は手を自由に使えるようになり、道具の使用や複雑な作業が可能になりました。

歩行がもたらす健康効果

歩行は、単なる移動手段としてだけでなく、私たちの心身に様々な健康効果をもたらします。

  1. 全身運動: 歩行は、全身の筋肉をバランス良く使う運動です。特に、下半身の筋肉だけでなく、体幹や上半身の筋肉も 活性化されます。
  2. 生活習慣病予防: 歩行は、エネルギー消費を促進し、肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防する効果があります。
  3. 心血管機能改善: 歩行は、心臓血管系を刺激し、心臓の働きを強くする効果があります。
  4. 骨密度向上: 歩行は、骨に負荷をかけることで、骨密度を高め、骨粗鬆症を予防する効果があります。
  5. メンタルヘルス改善: 歩行は、ストレスを軽減し、気分を高める効果があります。

厚底靴とベアフット

近年、 ふかふかのソールの厚底靴が流行していますが、ベアフットシューズ裸足で歩く方が、より自然な歩行を促し、体性感覚を活性化させる効果があります。

長時間座位の弊害

長時間座ることは、体の不活性化を招き、様々な健康リスクを高めます。具体的には、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 筋肉の萎縮: 下半身の筋肉が衰え、代謝が低下します。
  • 血行不良: 血流が滞り、冷えやむくみの原因となります。
  • 姿勢不良: 腰や背骨に負担がかかり、姿勢が悪くなることがあります。

距離や歩数よりも「歩き方」が重要

歩行の効果を得るためには、距離や歩数だけでなく、歩き方も重要です。

  • 膝から下だけで歩かない: 膝や足首だけでなく、股関節を大きく動かすことを意識しましょう。
  • 肩甲骨を動かす: 大きく腕を振るというよりも、わずかに肩甲骨を動かすことで、上半身特に背中の筋肉が活性化され、推進力が向上します。
  • お尻とハムストリングスを使う: 地面を蹴り出す際に、お尻とハムストリングス(太もも裏の筋肉)を意識することで、より効率的な歩行が可能です。
  • 体幹を意識する: 上半身を安定させることで、よりスムーズな歩行につながります。

歩行と脳の活性化

歩行は、脳を活性化する効果もあります。

  • 脳血流量増加: 歩行は、脳への血流を増加させ、脳の機能を高めます。
  • 神経細胞活性化: 歩行は、神経細胞を活性化し、認知機能の維持に役立ちます。
  • 脳の物理的変化: 最近の研究では、歩行によって脳の海馬(記憶に関わる部位)が大きくなるという報告もあります。

まとめ

歩行は、私たち人類にとって最も基本的かつ重要な動作であり、心身の健康に様々な恩恵をもたらします。現代社会では、長時間座位運動不足が問題となっていますが、正しい歩き方を意識することで、これらの問題を改善し、より健康的な生活を送ることができます。

コメントを残す

Related Post

筋肉は栄養、水分、酸素の貯蔵庫である筋肉は栄養、水分、酸素の貯蔵庫である

筋肉が酸素、水分、栄養素の貯蔵庫としての役割を持つことと、筋肉量が減ることのリスクについて詳しく説明しますね。 筋肉の役割 1.酸素の貯蔵: 2.水分の貯蔵: 3.栄養素の貯蔵: 筋肉量が減ることのリスク 1.運動能力の […]

足の裏やふくらはぎが疲れる理由足の裏やふくらはぎが疲れる理由

足の裏やすね、ふくらはぎが疲れやすいというお客様はとても多いのですが、実は臀部やハムストリングスをうまく使えていないことが原因である ということについて解説させていただきますね。 1. 筋肉の役割と機能 a. 下肢の筋肉 […]

トレーニングによる骨盤調整と腰痛防止(3)トレーニングによる骨盤調整と腰痛防止(3)

腹斜筋サイドの次は 腹斜筋フロントです。 ダンベルを左後方に持って 鼻から吸った空気をお腹にしっかり入れて 右前方の腹斜筋をギュギュッと思いっきり縮めて3秒 息を吐きながら元に戻ってを 10回繰り返す。   実はこれ 要 […]

健康、アンチエイジングのための筋トレ頻度健康、アンチエイジングのための筋トレ頻度

2021年に東北大学が発表した研究によると、健康を維持し、心臓疾患や癌などによる早期死亡リスクを低下させるためには、週に1時間の筋トレが効果的であるという結果が示されました。この研究は、適度な運動が健康に与える影響を強調 […]