皆さん、こんにちは。新潟市で22年間、ボディケアグリーンズという整体サロン&パーソナルトレーニングジムを経営している整体師の森田です。
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朝の最初の一歩に走る激痛、立ち仕事後のジンジンとした鈍痛—踵(かかと)の痛みは、ランニング愛好家だけでなく、長時間の立ち仕事や、加齢による体の変化を感じ始めた多くの方にとって、生活の質(QOL)を大きく低下させる深刻な問題です。
一般的に「足底筋膜炎」として認識されがちですが、私の長年の臨床経験から断言します。踵の痛みは、単一の組織の問題ではなく、足底、後方、内側、外側、そしてその上にある体幹までが複雑に絡み合った「連動の崩壊」の結果です。
今日は、なぜ踵の痛みが治りにくいのか、そしてその痛みに関わる16もの筋肉・腱・神経の役割について、解剖学的な視点から深く掘り下げていきたいと思います。
1. 踵の痛み:「16の組織」が絡み合う複雑な交差点
踵骨(かかとの骨)は、全身の衝撃を吸収する「土台」であり、複数の腱や神経が集中する極めて重要な交差点です。その痛みに関わる組織は、表面的なものだけではありません。
I. 踵の後方:最大の力(アキレス腱付着部)
ここは、歩行や走行時の蹴り出しに最大の力を発揮する部位です。
- 広背筋・ヒラメ筋・アキレス腱: 人体最大の腱であるアキレス腱(ヒラメ筋、腓腹筋の合流)の付着部が過度な張力で炎症を起こします(アキレス腱炎)。特に、ヒラメ筋が硬くなるとアキレス腱のテンションが過剰になり、踵骨に物理的な負担がかかり続けます。
- 踵骨棘: 長期間のストレスにより、アキレス腱や足底筋膜の付着部に骨のトゲ(踵骨棘)が形成されることもあります。
II. 踵の底面:アーチ崩壊の防衛線(足底筋膜炎)
踵骨の内側前方への痛みは、足底筋膜炎の典型的症状です。
- 足底筋膜: 踵骨から足指の付け根まで広がり、足のアーチをバネのように支えます。アーチが崩壊し、この筋膜に過剰な伸張ストレスがかかり続けることが、炎症の直接原因となります。
- 深層の筋肉: 足底方形筋、短趾屈筋といった足裏の小さな内在筋が、筋膜炎と連動して痛みを増幅させます。
III. 踵の内側:神経圧迫の恐怖(足根管症候群)
内くるぶし(内果)の下を通るトンネル状の構造(足根管)には、重要な神経と腱が集中しています。
- 脛骨神経: 坐骨神経から分岐したこの神経が、足根管内で周囲の腱(後脛骨筋腱、長趾屈筋腱、長母趾屈筋腱)の腫れや周囲組織の硬さによって圧迫されると、踵の内側や足底にしびれや痛みが放散します。これが足根管症候群です。
- 後脛骨筋腱: 土踏まずを支える非常に重要な腱であり、この腱炎も踵の内側に痛みを引き起こします。
2. 整体師が追求する「根本原因」の哲学
なぜこれらの組織に負担がかかり、炎症が起きるのでしょうか。その答えは、「全身の衝撃吸収機能の放棄」にあります。
🔑 股関節と骨盤の連動性こそ、踵の命綱
踵の痛みは、足の問題である以前に、その上にある体幹(股関節や骨盤)が衝撃吸収の役割を放棄しているサインです。
- お尻(臀筋)の弱化: 股関節やお尻の筋肉が歩行時や着地時に適切に働かないと、路面からの衝撃が緩衝されず、そのまま足首と踵にダイレクトに伝わります。
- 体幹の歪み: 骨盤が捻れたり、体幹が不安定になったりすることで、足部の着地パターンが崩れ、特定の組織(例:アキレス腱)に過剰な負荷が集中し続けます。
3. 改善戦略:循環・神経・連動の三位一体アプローチ
私たちは、踵の痛みの根本解決のため、以下の三位一体のアプローチを追求します。
- 超微細な神経・腱のリリース: 力任せではなく、緻密な触診で足根管内の脛骨神経や、後脛骨筋腱といった重要組織の滑走不全を解放します。神経の圧迫を解除することで、痛みの信号そのものを静めます。
- 足首と踵骨のアライメント調整: 踵骨のズレや、足首の関節の硬直を、筋肉や筋膜の調律を通じてニュートラルに戻します。これにより、アキレス腱や足底筋膜への過剰な張力を解消します。
- 股関節と臀筋の再教育: パーソナルトレーニングと整体を通じて、衝撃吸収の主役である臀筋群の機能を回復させます。歩行時、走る時に、股関節から衝撃を分散させられる「使える体」を作り替えます。
踵の痛みは、あなたの健康寿命を左右する「歩行機能」の危機です。放置せず、その複雑な原因に、専門的な知識と技術で向き合いましょう。
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整体師 森田 ボディケアグリーンズ 代表