皆さん、こんにちは。新潟市で22年間、ボディケアグリーンズという整体サロン＆パーソナルトレーニングジムを経営している整体師の森田です。
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「腕を上げると、肩の奥がズキッと詰まる」 「四十肩・五十肩の痛みかと思ったら、動きが悪いだけだった」
このような症状に悩まされている方は非常に多いです。そして、その不調の裏側には、私たちの体が持つ「極めて繊細なスペース（空間）」の問題が潜んでいることをご存知でしょうか。
今日は、なぜあなたの肩が詰まるのか、そしてその根本原因である「肩峰下腔（けんぽうかこう）」という空間をめぐる、わずか2ミリの命綱について深く掘り下げていきたいと思います。
1. 2ミリの命綱：肩峰下腔の役割と危機
肩関節は、人体で最も自由度の高い関節ですが、その構造は非常に繊細です。
🔑 肩峰下腔（サブアクロミアルスペース）とは
肩甲骨の一部である「肩峰（けんぽう）」の下に、腱や滑液包といった重要な軟部組織が走行する、狭い空間があります。この空間を専門用語で「肩峰下腔」と呼びます。
この空間が、2ミリメートル以下に狭くなると、腕を上げる動作の際に腱や組織が骨に挟み込まれてしまいます。これがインピンジメント（衝突症候群）が発生する主なメカニズムです。
🚨 なぜ空間が失われるのか？
この「命綱」とも言えるスペースが失われる原因は、加齢だけでなく、日々の姿勢や体の使い方の問題にあります。
① 姿勢の崩壊（前傾と巻き込み）
巻き肩や猫背といった姿勢の崩れは、肩甲骨全体を前方に傾かせます。肩甲骨が前傾すると、その屋根である肩峰が下がり、空間が物理的に狭くなります。さらに、頭部が前方に突き出ることで、肩甲骨を上に引き上げる力みも加わり、空間が常に圧迫される状態となります。
② 腱板の機能不全と不安定性
肩関節の安定性を保つインナーマッスル群である腱板筋（棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋）がサボると、腕の骨（上腕骨頭）が本来あるべき位置に保てず、不適切な位置（上方）に引き上げられてしまいます。これも、肩峰下腔を狭くする直接的な原因となります。
③ 肩甲骨の挙上と力み
ストレスや疲労、首の力みによって肩甲骨が上に引き上げられ（挙上）、肩が常にすくんだ状態になっていると、肩峰下腔は常に圧迫され続けます。
2. 「動かしすぎ」の罠：損傷を加速させるリスク
インピンジメントの症状が出ているにも関わらず、「運動不足だから」「硬いから」と自己判断し、無理に腕を大きく回したり、強いストレッチをしたりすることは、非常に危険です。
❌ 損傷の悪化と炎症の増幅
関節の裏側や肩峰下腔が狭くなっている状態で、痛みを我慢して動かすと、挟み込まれている腱や筋肉に微細な損傷を繰り返し与えます。
これにより、炎症が慢性化・悪化し、症状が長期化します。特に、インピンジメントは腱板損傷（腱板断裂）へと進行するリスクを伴うため、この段階で無理な力を加えることは絶対に避けるべきです。あなたの肩の痛みは、「これ以上、間違った力を使わないで」という体からの悲鳴なのです。
3. 改善の哲学：動かす前に「空間の確保」を
インピンジメントのリスクを避け、肩関節の機能を回復させるための唯一の解決策は、失われた空間を「力」ではなく「調律」によって取り戻すことです。
🔑 整体師が追求する「緻密な調整」
- 胸郭の解放（土台の安定）: 巻き肩の原因である胸椎の固着を解放し、胸郭を広げます。土台である胸郭が安定して開くことで、肩甲骨が自然と正しい位置（下制・後傾位）に戻りやすくなります。
- 短縮筋のリリース: 肩を前に引っ張る大胸筋や小胸筋を、力ではなく、緻密な手技で解放し、肩甲骨にかかる前方へのテンションを解除します。
- 腱板筋の活性化: 弱化している腱板筋（インナーマッスル）を再教育し、上腕骨頭を適切な位置で安定させる力を回復させます。
これらの調整を通じて、関節のスペースと機能を回復させることが、肩の痛みから解放され、自由に腕を動かせるようになるための、最も安全で確実な道筋です。
あなたの肩の痛みは、体の微細な構造からのメッセージです。微細な空間を確保するための緻密な調整が、将来の深刻な腱の損傷を防ぎます。
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整体師 森田 ボディケアグリーンズ 代表